ロジスティック写像 c 言語 7

こちらの使い方は、時系列解析理論編と実践編に詳しく書いてあるのでそちらをご参照ください。, ARIMAモデルを推定する場合は「何期前までのデータを使うか」など様々なパラメタを指定しなければならないのですが、「auto.arima」関数は、その名の通り、自動で最適なモデルを選んでくれます。, stepwise=Fにするところと、approximation=Fにするところに注意してください。 決定論的なモデルであるのにかかわらず、不規則な変動をするというのはなかなか不思議な話でして、時系列解析をする際にも、普通の「ランダムなノイズ」によって値が変わるということを想定したモデルを使うと、うまく予測ができないこともしばしばです。, 次の節からは、決定論的なモデルであるのにかかわらず、不規則な変動をする時系列データを実際に見てみます。, カオス時系列データとしてもっとも有名なものが、ロジスティック写像でしょう。 442.337 506.375 450.758]>> ------------- 本サンプルはロジスティック分布から疑似乱数ベクトルの生成を行うC言語によるサンプルプログラムです。 本サンプルは以下に示される確率密度関数をもつ、平均(a)1.0でスプレッド(b)2.0のロジスティック分布から5個の疑似乱数を生成し出力します。 横軸が個体数xt 、縦軸が これは「yは、yそのものが小さすぎたり大きすぎたりすると、値が増えにくい」逆に「yは中くらいの値(今回の例だと0.5)の時に、最も増えやすい」ことを意味しています。, すなわち、ロジスティック写像の時系列データは「前期の値が大きすぎたり小さすぎたりすると、今期は大きな値にならない」逆に「前期の値が中くらいの時に、今期の値は大きくなる」という特徴があるわけです。 要するに、微分された値を、過去から順番に掛け合わせていっているんですね。, 掛け算は計算が難しいので、対数をとって足し算に直します。 C言語の注釈を無視する; 言語処理を学ぶ学生さん用に語彙解析(Lexcal Analysis)から 6.4 ロジスティック写像 その2. 「ファイゲンバウム点」と呼ばれている。 同じ値になっていることを確認してください。, ロジスティック写像の初期値やパラメタ「r」を変えたときの挙動を見てみます。 endobj 繁殖率a の値のみを0.8、1.6、2.4、3.2、3.5、3.8、4.0と変化させて、 これはリアプノフ指数の計算時の問題を逆に応用して、カオスかどうかの判別をする方法です。, カオス時系列などの非線形なデータに対してリアプノフ指数を計算するとき、データにノイズが含まれていると、リアプノフ指数が大きくなってしまうという問題があります。 動して、以下のコマンドを入力する。(以下は、繁殖率a=3.5の場合) このようにしてわれわれの研究は、カオスを科学の本流に押し上げる第2の主役となった。ジム・ヨークが言ったように、われわれは2次写像の奇怪な数学的挙動を独立に最初に発見したのではなく、科学におけるその広範な意味づけを最後に強調した研究者たちなのだ! 上の図の濃い青の線が予測値なのですが、将来の変動をまるで予測できていないことがわかります。, 予測誤差などを計算してみます。 397.505 506.375 405.926]>> ロジスティック写像(ロジスティックしゃぞう、英語: Logistic map)とは、1次元の離散力学系の一種。ロジスティック方程式の離散化からも得られるため離散型ロジスティック方程式とも呼ばれる[1][2]。変数を x としたとき、次の1変数2次差分方程式(漸化式)で示される[3]。, ロジスティック写像は、パラメータ a にどのような値を与えるかによって、n を増やすに連れたxnの値の変化(振る舞いや軌道と呼ぶ)が、一定値への収束、複数の値を繰り返し取り続ける周期的な振動、カオスと呼ばれる非周期的な極めて複雑な振る舞い、へと変化する。, この複雑な振る舞いについて多くの研究がされてきたが、特にロバート・メイ(他にジム・ヨーク、ジョージ・オスター)の研究によって広く知られるようになった。, カオスを生み出す系は非線形性を持つ必要があるが、このような非線形関数の中でも、ロジスティック写像は最も単純なものの1つである二次関数の差分方程式からカオスを生成する[4][5]。この単純さと、他のカオスとも共通する現象がいくつも現れることから、カオス理論の入り口としてよく採り上げられる[4][5]。, ここで、n はステップ数、n = 0, 1, 2... である[8]。離散時間の発展を意味する。記号 t と表記する場合もある[9]。n = 1 を初期状態として n = 1, 2, 3... と数える場合もあるが[10]、本記事中では前者で統一する。, xn は第 n 項目の x の値を示す。式(1-1)は、xn の値とその次の値である xn+1 の関係を示すものである。すなわち、xn から xn+1 が一意的に決定されることを示している。一方で、xn の値からその前の値である xn−1 の値は一意的に決定できない。二次関数の解が2つあることからも明らかなように、xn の値に辿り着く xn-1 の値については2つの値が有り得る。このような現在の値から過去の値への一意性が無いことは、1変数差分方程式でカオスを生み出す必要条件でもある[11]。2変数以上になるとこの条件は必要ではなくなる[11]。, x0 を初期値として、ロジスティック写像では一般的に 0 ≤ x0 ≤ 1 の範囲で初期値を取る[12]。文献によっては 0 < x0 ≤ 1 の範囲であるが[3]、本記事中では前者で統一する[注釈 2]。, a は定数で、パラメータとも呼ばれ、非線形性の強さを表すとされる[13]。xn をある環境下における生物個体数とし、ロジスティック写像を個体群の成長モデルとみなすような文脈では、a は最大の生物個体数増加率 (biotic potential) とも呼ばれる[8]。記号には r や μ なども割り当てることもある[8]。パラメータは一般的に 0 ≤ a ≤ 4 の範囲で選択される[14]。文献によっては 0 < a ≤ 4 の範囲であるが[3]、本記事中では前者で統一する[注釈 3]。, 式(1-1)について、縦軸を xn+1、横軸を xn としてグラフを描くと、単純な二次関数の放物線が得られる。0 ≤ xn ≤ 1 の範囲でこのグラフを描くと、両端の xn = 0, 1 で、xn+1 = 0 となる。真ん中の xn = 0.5 で、xn+1 = a / 4 となる極大値かつ最大値を取る。このような xn から xn+1 への写像をリターン・マップと呼ぶ[15]。, ロジスティック写像のような山形の曲線を描く写像は単峰写像と呼ばれる写像の一種で、その中でもロジスティック写像はシュワルツ導関数(英語版)が負であるという条件を満たす[16]。これらの条件を満たす写像では、後述するような分岐のパターンが発生する[16]。他の例としては、正弦波を用いた xn+1 = a sin xn という写像でもこの条件を満たし[17]、周期倍分岐、カオス、窓など、ロジスティック写像同様な振る舞いを見せる[18]。このような曲線の写像ではカオスを生み出す基本機構である引き伸ばしと折り畳みという操作を備えているのが特徴である[11]。a = 4 のときの xn から xn+1 への変換を考えると、まず区間 [0, 1] の xn が全体として2倍に引き伸ばされ、伸びた区間が半分に折り畳まれ、区間 [0, 1] の xn+1 として与えられる、というような操作を行っていることになる[19][20]。このような引き伸ばしと折り畳みを繰り返す操作は、料理のパイをこねる操作に似ていることからパイこね変換と呼ばれ[20][注釈 4]、低次元カオスの典型的な発生機構である[19]。, 一般的には、ロジスティック写像は、式(1-1)による単位区間 [0, 1] から [0, 1] への写像とされる[14]。この区間の写像であるために必要な初期値 x0 とパラメータ a の範囲を確認する。xn が区間 [0,1] 内の値であれば、xn+1 が取り得る最小値は xn = 0, 1 のとき xn+1 = 0、最大値は xn = 0.5 のとき xn+1 = a/4 である。したがって、初期値が 0 ≤ x0 ≤ 1 を満たし、なおかつパラメータが 0 ≤ a ≤ 4 を満たせば、次の値は 0 ≤ x2 ≤ 1 となる。よって、その次の値も 0 ≤ x3 ≤ 1 となり、数学的帰納法からすべての n で常に 0 ≤ xn ≤ 1 が成立する[12]。, a が 4 を超えると、後述のように初期値に関わらず負の無限大へ発散する。a が負のときは、xn が負の値を取るようになるが、a = −2 までは有限な範囲で変動して発散はしない。ただし、多くの文献[注釈 5]では前述の 0 ≤ a ≤ 4 の範囲を扱い、ロジスティック写像が生態学上のモデルとして研究された経緯もあってパラメータ a が負の場合を論じることは少ない[27]。, パラメータ a が大きくなるに従った、変数 xn の振る舞いの変化を順に説明する。まず、a が 0 < a ≤ 1 の範囲では、初期値 x0 が 0 から 1 までのどの値を取ったとしても、xn は n の増加と共に単調減少し、最終的に 0 に収束する[28]この収束する点を安定な固定点[29]、安定な不動点[30]、あるいは吸引的不動点、沈点[31]などと呼ぶ。一般に、十分な時間経過後にその力学系が漸近する集合はアトラクタや吸引集合と呼ばれる[32]。この場合は、x = 0 がアトラクタに相当する。, 1次元写像の軌道を視覚的に表すのには、クモの巣図法と呼ばれる手法が利用される[33]。これはグラフ上に原点を通る傾き1の直線を引き、この対角線と写像の曲線を交互に行き来することで1次元写像の軌道を2次元的に視覚化する方法である。a = 0.9 におけるクモの巣図と、n の増加に伴ったxnの時系列データを示す。, 上記のようにある1点に落ち着いて、その値から動かなくなったとき、写像は常に xn+1 = xn を満たす状態にある[34]。よって、このときの値を xf とすると、, という関係式を満たす。単に不動点あるいは固定点と言えば、式(2-1)を満たす値 xf を指す[34]。式(2-1)を解くと、xf は、, となる。0 < a ≤ 1 のとき、不動点 1 − 1/a は負または0の値となるので、0 ≤ a ≤ 1 のときは不動点1 − 1/aは現れず、不動点は0のみである。, 式(2-2)から不動点の値は求められるが、xn ≠ xf のときに、n の増加と共に xn = xf に収束するかは保証されない。xf の近傍にある xn が最終的に xf に収束するならば、この不動点 xf は安定であるいう[29]。逆に n の増加と共に xf から離れていくならば、この不動点 xf は不安定であるという[29]。また、離れも近づきもしない場合は中立安定であるという[29]。0 < a ≤ 1 のとき、0 は上記通り安定不動点に該当する。一方の不動点 1 − 1/a は、0 ≤ xn ≤ 1 の範囲では現れない不安定不動点である[35]。, 1 < a ≤ 2 のときは、初期値が 0 または 1 である場合を除き、xn が単調増加あるいは単調減少しながら 1 − 1/a に収束する[36]。以下にそれぞれの例を示す。, a < 1 から a を増加させていくと、安定不動点 0 と不安定不動点 1 − 1/a が a の増加と共に近づき、a = 1 で衝突し、1 − 1/a が安定不動点に、0 が不安定不動点に変わる安定性の交替が発生する[35]。ただし、a = 1 ではまだ 0 へ収束し、a = 1 を超えたところで漸近的な振る舞いは変化する[37]。このようなパラメータの変化により力学系の解の性質が変わることを分岐と呼ぶ[35]。分岐が発生するパラメータの値を、この場合は a = 1 を分岐点と呼ぶ[38]。a = 1 における分岐はトランスクリティカル分岐と呼ばれるタイプの分岐に相当する[35]。このようなパラメータの変化に伴った分岐の発生の様子を示すために、横軸に写像のパラメータを取り、縦軸に長期間後の変数の値を示した、分岐図と呼ばれる図が用いられる[39]。以下にパラメータ a が 0 から 3 までの分岐図を示す。, 0も不動点として残っているが、不安定なので0に収束するのは初期値0、1のときだけである。これは以下の1 < a < 4 の範囲でも同様である[40]。, 2 < a ≤ 3 のときは、初期値0、1を除いて、1 < a ≤ 2 のときと同様に 1 − 1/a に収束する[41]。ただし 2 < a ≤ 3 のときは単調増加または単調減少ではなく、1 − 1/a の値を一端通り過ぎ、周囲で変動しながら 1 − 1/a に収束していく振る舞いとなる[42]。a = 2.8 における例を以下に示す。, 3 < a ≤ 3.4494897... の範囲では、ほぼ全ての初期値において、xn は1つの値には収束せず、ある2つの値を交互に取る振る舞いを起こすようになる[28]。交互に取られる2つの値は、周期点[43]や平衡点[28]と呼ばれる。今のような2周期のときは、周期点を2周期点[44]、振る舞いを2周期軌道[30]などと呼ぶ。不動点と同様の考え方で、周期点にも安定なもの、不安定なものが存在する[45]。今の範囲における2周期点は安定周期点である。a = 3.2 のときの例を以下に示す。, a = 3 に達すると不動点 1 − 1/a が安定不動点から不安定不動点に移行する[46]。a = 3 のときはまだ 1 − 1/a (= 2/3) に収束するが、2 < a < 3 のときよりも収束速度が遅い[47]。a ≤ 3 における不動点への収束を安定な1周期軌道と見なせば、a = 3 を超えた点で、1周期から2周期へ周期が倍増する。この振る舞いの変化も分岐の一種で、周期倍分岐と呼ばれる[14][注釈 6]。, xn+2 と xn の関係、すなわち式(1-1)の2回の反復合成写像は、次のように示される[49]。, この2周期点をそれぞれ x(2)f1、x(2)f2 とする。x(2)f1、x(2)f2 は、その定義より、, ほぼ全ての初期値から2周期点に到達するが、0 と 1 − 1/a は不安定不動点として残っている。そのため、初期値が、0、1 − 1/a、さらに、n を増加させる内に 0 または 1 − 1/a にたどり着く初期値であれば、2周期点ではなくこれらの不動点に到達する[51]。ただし、これらの値の範囲は、初期値 0 < x0 < 1 の実数集合に対して無視できるほど小さい[52]。, 2周期軌道の状態から a を増加させていくと、a = 1 + √6 = 3.4494897... で安定な2周期軌道から安定な4周期軌道の状態に変化する[46]。これは2周期から4周期への周期倍分岐である。この4周期点の値も2周期点と同様に a に依存して決まるが、2周期点のように陽関数の形で得ることはできない[53]。さらに a の値を大きくしていくと4周期から8周期、8周期から16周期、16周期から32周期... と周期倍分岐が続けて発生していく[54]。, この周期倍分岐は無限に続くが、一方で、周期倍分岐が発生する分岐点の間隔は等比数列的に減少する[55]。1周期から2周期への分岐を1番目の周期分岐として数えれば、k 番目の分岐点で 2k 周期が発生する。k 番目の分岐点パラメータ a を ak と表すと、実際に16周期までの分岐点は a1 = 3, a2 = 3.44949..., a3 = 3.54409..., a4 = 3.56441... と、分岐点の間隔は減少していく[56]。このため、k → ∞ の極限における分岐点を ac とすると、ac = 3.5699456... という有限な値に収束する[54]。ac は集積点[54]やファイゲンバウム点[55]と呼ばれる。ak の減少の割合の極限は次式で示すような定数値となる[46]。, この δ の値は、ミッチェル・ファイゲンバウムにより発見されたことからファイゲンバウム定数と呼ばれる[57]。このような周期倍分岐を無限回繰り返した末にカオスへと遷移する現象はカオスへ至る道筋の一つで[58]、ファイゲンバウムのシナリオ[59]や周期倍分岐ルート[60]と呼ばれる。, a = ac のときのロジスティック写像は、無限個の周期点が存在する閉じることの無い周期軌道を取る[61][62]。この値における軌道はファイゲンバウム・アトラクタ[63][64]や臨界2∞アトラクタ[62]と呼ばれる。ファイゲンバウム・アトラクタの構造はフラクタルになっており、容量次元は約0.54である[65]。一方で、カオスの要件の一つである初期値鋭敏性は持たない[63]。他のカオスではフラクタル構造と初期値鋭敏性を同時に備えるのに対し、ファイゲンバウム・アトラクタではフラクタル構造は持つが初期値鋭敏性は持たないのが特徴である[66]。, 式(2-4)と式(2-5)は k 周期のときにそのまま拡張できるので、k 周期点の j 番目の値を x(k)fj とすれば、以下の関係を満たす値がそれぞれの周期点(k = 1 のときは不動点)となる[43]。, ac = 3.5699456... を超えるとカオスが発生し、収束も周期性も無い不規則で複雑な挙動を示すようになる[67]。初期値鋭敏性の指標であるリアプノフ指数 λ を計算すると、a < ac の範囲では λ は負または 0 の値の範囲に留まっていたが、a > ac の範囲から λ が正の値も取るようになる[68]。ロジスティック写像のような1次元の区間力学系が生み出すカオスは、特に1次元カオスと呼ばれる[69]。, ac < a < 4 の範囲で分岐図を見ると、例えば a = 3.8 などでは1つの区間内に軌道が収まっているが、a = 3.65 などでは2つの区間に軌道が分かれている。このような区間はバンドと呼ばれる[70]。a がバンドを複数持つ領域にあるとき、軌道は規則的に順番に各バンドを巡り、しかし各バンド内での取る値は不規則である[71]。バンドが2つのときを例にすると、n が偶数のときは下側のバンド内に存在し、奇数のときは上側のバンド内に存在するが、偶数、奇数それぞれのときの値はバンド内で不規則に決まる[72]。このような状態のカオス軌道を、バンドカオス[73]や周期的カオス[71]と呼ぶ。a = 3.65 からさらに値を小さくしていくと、周期倍加分岐のときと同じように、4, 8, 16, ...2k というふうにバンドの数が2倍に増えていく[72]。バンドが増えるときのパラメータ a の値を ek で表すとする。ek の値の間隔も、周期倍加分岐と同じく、バンドの増加と共に急激に小さくなっていき、k → ∞ で e∞ = ac となり、周期倍加分岐の集積点と一致する[74][72]。バンドとバンドが一緒になることをバンド融合、分かれることをバンド分裂と呼び、これらもカオスの典型的な分岐の1つである[75][76]。, 以上のように、ac < a < 4 の範囲でバンドカオスの融合や分裂が発生しているが、軌道の最大値と最小値についてはバンドの数に関わらず決定される[77]。これは後述の窓領域でも同様である[78]。このような xn の最大最小範囲は、パラメータ a により以下のように得ることができる[77]。, ac < a < 4 の範囲でカオス的振る舞いが発生するようになるが、常にカオス軌道を示す訳ではなく、a の値の領域によって、カオス軌道になったり周期軌道になったりする。このようなカオス軌道に至った後に周期軌道に変わるaの領域を窓[79]や周期窓[43]、窓領域[72]と呼ぶ。カオスの非周期的領域と窓の周期的領域は交互に出現する[80]。カオスから窓への分岐は、接線分岐と呼ばれるタイプの分岐により発生する[81]。これはサドルノード分岐とも呼ばれ、1次元写像におけるサドルノード分岐を特に接線分岐と呼ぶ[82]。, ac < a < 4 の範囲で発生する窓の詳細について見ていく。まず、窓の個数は、この範囲に無限個存在している[83]。窓の周期については、ac < a < 4 の範囲に、3周期以上の全ての自然数 k の周期の窓が存在する[84]。各 k 周期の軌道がそれぞれ1回ずつ発生する訳ではなく、kの値が大きいほど多く発生する。k 周期の窓の個数を Np としたとき、k を素数に限定すると、k の値から Np の値が以下の式より得られる[85]。, 式(2-9)は、k を素数に限定した式だが、実際の Np を調べて比較すると、素数でない k に対しても非常に近い値の Np を式(2-9)で得ることができる[86]。, 窓の幅(窓が始まる a と窓が終わる a の差)は、3周期の窓が最も広く、周期が大きいほど幅は狭まっていくと推定される[87]。よって、窓は無限個存在するが、窓の周期的領域の範囲はカオス軌道が支配する領域に比べて小さい。概算によると、区間 [ac, 4] の約90%はカオス軌道が支配する範囲で、残りが窓領域の範囲である[87]。, 窓領域で現れる周期軌道は、窓領域ではカオスが背後に存在するが不安定のため観測されず周期軌道のみが可観測となって現れるもので、この点において集積点前で現れる周期軌道と異なる[88]。窓領域中では、初期値から安定周期軌道に落ち着くまでの間のみに、この潜在的なカオスが過渡的に現れる[89]。このようなカオスを過渡カオスと呼ぶ[90]。, 最も広い3周期窓を例にして、窓領域内の振る舞いについて見ていく。まずカオス発生領域から3周期窓発生領域へ移る過程を観察する。3周期窓の発生分岐点は 1 + 2√2 = 3.82843... で与えられる[91]。この3周期窓分岐点を a3 とする。a3 よりもわずかに小さい a = 3.8282 のときの時系列を見てみると、xn が不規則的振る舞いを起こしている時間域と3周期の周期的振る舞いを起こしている時間域が交互に発生する[92]。この振る舞いの周期的な部分をラミナーと呼び、不規則部分をバーストと呼ぶ[93]。この振る舞いはカオスに相当するが、間欠的にしかカオス挙動が発生しないことから間欠カオスや間欠性カオスと呼ばれる[93][94]。また、バーストとラミナーの時間域の長さに規則性は無く、不規則に変化する[93]。次に、3.8282より大きいが a3 には満たない a = 3.828327 のときの振る舞いを観察すると、a = 3.8282 のときよりラミナーの平均的な時間域長さが長くなり、バーストの平均的な時間域長さが短くなる[93]。さらに a を大きくしていくとラミナーの長さがどんどん大きくなっていき、a3に至ったところで完全な3周期に変わる[95]。このような振る舞いの変化を、a を大きい方から小さい方へ変化させる方向で見てみると、周期軌道からカオス軌道への移行していることになる。これも前述の周期倍分岐ルートと同じくカオスに至る道筋の一種で、このような接線分岐による間欠カオスの発生を特徴とした道筋を、ポモウ・マンヴィルのシナリオ[96]やインターミッテンシールート(intermittency route)[97]と呼ぶ。, 次に、窓内部の構造を観察する。完全に3周期窓に入った後は、既に述べたように振る舞いは3周期軌道になる。分岐図で見ていくと、a3 を過ぎたところからカオス領域から3本の曲線に変わり伸びていくが、a が大きくなるとある値でそれぞれの曲線が2つに分かれる[98]。これは 3 < a ≤ 3.5699456... で見た周期倍加分岐と同じ現象が発生しており、全体で見ると、3周期、6周期、12周期...という風に 3 × 2k 周期が発生していく[99]。最終的には、2k 周期分岐のときと同じくある値の集積点で無限周期に至り、カオスが発生する[100]。集積点通過後も a 増加に伴う振る舞いの変化は、2k 周期分岐終了後と同じく、小領域を巡る周期的カオスから始まり、小領域の結合、窓の発生(大きな窓の中に窓がある構造で子窓などと呼ぶ)が起こる[101][98]。1つの窓の中に、このような全体と同じような振る舞いの変化が存在することにより、ロジスティック写像の分岐図は、分岐図の中に同じ形状の分岐図が存在して、それが無限に続くというフラクタル的な自己相似形状になっている[102][89]。ただしこの自己相似形状は、無限の入れ子構造となる厳密な自己相似形となってはいない[103][76]。, 最後に、3周期窓領域の終了部分について見ていく。全体と同じような振る舞いの変化を辿り、3周期窓領域の最終部では、3つの領域を巡る3バンドカオスとなる[104]。この状態からさらに a を大きくしていくと、ある値で窓領域が終了し、3バンドカオスから1バンドカオスに戻る[83]。この分岐点の値は a = 3.8568... で与えられる[104][注釈 7]。このような窓の終わりで軌道が一気に大きな区間へ移る分岐はクライシスと呼ばれる[105]。アトラクタが不安定周期点に接触して崩壊し、崩壊したアトラクタの外側のアトラクタに捕まることで、区間の変化が発生する[106]。後述の境界クライシスと呼び分けるために内部クライシスと呼ばれる[107]。あるいはバンド融合クライシスとも呼ぶ[108]。, a = 4 のときは、区間[0, 1]全体で変動する。このとき、ロジスティック写像は全ての自然数k周期軌道が存在するが、それら全ては不安定周期軌道となっており、周期軌道に漸近することなく非周期で区間 [0, 1] を巡り続ける軌道となる[109]。この a = 4 におけるカオスは特別にピュアカオスとも呼んだりもする[110][111]。, a = 4 のとき、初期値鋭敏性の指標であるリアプノフ指数の値は ln2 で[112]、写像の複雑性を示す位相的エントロピーの値は log2 である[113]。また、このときの区間 [0, 1] での xn の分布関数あるいは不変測度 μ(x) は次式で示される[114]。, ここで、xn の値が微小区間 dx に訪れる確率は μ(x)dx で得られる[115]。よって、xn の発生頻度分布は、区間 [0, 1] で一様分布ではなく、0 と 1 の両端が発生確率が高いU字型の分布となっている[116]。分岐図のプロットの濃淡からも明らかなように、a < 4 のカオス発生範囲でも発生分布は一様ではなく偏りが存在している[117]。, a = 4 のときの軌道が取り得る複雑さは、確率的なランダムに匹敵すると説明される[20]。具体的には以下のようになっている[118][119]。n = 0, 1, 2... に対して時系列xn = x0, x1, x2... が得られる。次に、この時系列の値それぞれを、x = 0.5 以下のものは0、x = 0.5 を超えるものは1に変換する[注釈 8]。変換された 0 か 1 の値を、時系列順に並べて数列sLを作る[注釈 9]。例えば、初期値 x0 = 0.2 とすれば、 x1 = 0.64, x2 = 0.9216, x3 = 0.28901, ... となるので、sL = 0110... が得られることになる。一方、1/2 の確率でそれぞれ表裏が出るコイントスを想定する。表が出たときを 0、裏が出たときを 1 として、試行順に数列 sC を作る。例えば1回目表、2回目表、3回目裏、4回目裏...であれば、sC=0011...が得られる。試行は無限回行うとして、sC の 0 と 1 が無限に並ぶ場合も含める。この試行では確率論的なコイントスで記号を決めていったので、数列 sC は完全にランダムであらゆるパターンの数列を得ることができる。これに対して、ロジスティック写像から得られた数列 sL は決定論的な法則に従って決めていったものである。しかしながら、コイントスで得られる可能性のある全てパターンの数列 sC を、初期値を適切に選びさえすればロジスティック写像による sL によって実現できる。すなわち、無限列 sC に対して、sC = sL となる初期値x0 が区間 [0, 1] 中にただ1点存在することが証明されている。, 以上のような性質を持つ解は「真にカオス的」「ピュアカオス」とも形容される[110]。一方で、a = 4 では、例外的なケースとして、カオスでありながらも n について明示的な厳密解を得ることができる[111]。式(5-2)にそれらの解を示す。, a が 4 を超えるとほとんど全ての点 x0 から始まる挙動はマイナス無限大へ発散する[123][124]。この分岐は、窓領域の終わりで発生していた内部クライシスと同じ現象だが、アトラクタが不安定化しても外側の大きなアトラクタに移行することなく軌道が無限遠に発散することが特徴である[107]。内部クライシスと呼び分けるために境界クライシスと呼ぶ[107]。あるいはアトラクタ破壊のクライシスとも呼ぶ[125]。, 4 < a のときでも、マイナス無限大へ発散しない挙動を取る初期値 x0 の集合が存在する[124]。この集合を A とすると、単位区間 I から差し引いた I − A 内にある点が発散の一途をたどることになる。一方、発散しない集合 A は、長さが 0 でありながら非可算無限の点が存在するカントール集合の一種を形成する[126]。, 以上まではパラメータ a が正の場合について説明してきた。ロジスティック写像は生態学上のモデルとして研究された経緯もあり、一般的に a が負の場合については論じられることは少ない[27]。a が負の範囲のときの写像の分岐を確認すると、正の場合と似たような分岐を経て発散に至る。, a の値を0から減少させていくと、−1 までは xf = 0 の安定不動点に漸近するが、−1 を超えたところから2周期点に分岐し、正のときと同じく周期倍分岐を経てカオスへ至る[27]。a = −2 のときはカオスだが、a = 4 のときと同じように時間発展の厳密解を得ることができ、式(5-3)で表される。最終的には、a が −2 を下回るとプラス無限大へ発散するようになる[27]。以下に −2 から 4 までのロジスティック写像分岐図の全体像を示す。, ロジスティック方程式は、ピエール=フランソワ・フェルフルストにより、ある環境における生物個体数の時間変化を表すために発表されたもので、次式で表される。, ここで、t は連続時間、N は生物個体数で t の関数 N(t)、dN/dt は N の時間微分で時刻t における N の増加率、K は環境収容力で、r は内的自然増加率である。K と r が定数である。, ロジスティック方程式(式(3-1))の形式は、ロジスティック写像(式(1-1))と同様に変数が大きくなると負のフィードバックが働く点など一見似ているが、振る舞いは相当に異なる[127]。式(3-1)では、パラメータの値に寄らず、十分時間経過後の N は常に K に収束する[128]。, このようなロジスティック方程式に、1階常微分方程式の数値解法の一つであるオイラー法による差分化を行うことで、ロジスティック写像を以下のように求めることができる[129]。後述の#研究史に記す通り、ロバート・メイがロジスティック方程式から差分化して得たロジスティック写像を用いた研究を行い、ロジスティック写像が広く知られるようになった。, ここで時刻 t を Δt の倍数と見なし、t = nΔt で書き換えると、

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